よくある症状 ①発熱について
2023.01.26 ☆よくある症状☆呼吸器内科☆病気の解説☆発熱外来
年齢を問わずよく見られる症状の一つです
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)では
「発熱」 体温が37.5℃以上
「高熱」 体温が38.0℃以上
を指します。
よく言われる「平熱」、や「微熱」の定義はありませんが、一般的には
「平熱」 37.0℃ 未満
「微熱」 37.0~37.4℃
があてはまります。
「平熱」には年齢の影響や個人差もあるため、それぞれご自分の平熱を知っておくとよいでしょう。
おおよそ「平熱」+0.5~0.7℃が、なんとなく調子のすぐれないと感じる「微熱」の目安と考えられます。
厚生労働省は37.5度以上の「発熱」が4日以上続く場合をCOVID-19を疑う目安としています。
体温は測定する条件(場所、時間、性別、年齢など)によっても変わるため注意が必要です。
測る部位 (直腸>口>腋の下で0.3~0.5℃の差)
健康な方でも0.5-1.0℃ほどの日内変動 (早朝に最低で夕方に最高、腋窩で37.3℃まで許容)
月経のある女性 (黄体期に+0.6℃上昇もありえる)
超高齢の方や低栄養の方 (体温が低くなることがある)
発熱の病態は大きく二つに分類されます
①Fever(発熱) ②hyperthermia(高体温症)
①Fever(発熱) → 解熱剤が有効です
外因性(感染や化学物質)、内因性(組織壊死や免疫反応)により
マクロファージなどの免疫細胞が発熱物質(サイトカイン)を放出することで
視床下部の体温調節中枢の設定値を上昇させ体熱産生と放熱抑制が起き体温が上昇
何らかの原因により炎症が起こり、発熱物質がつくられるため体温が上がる仕組みです。
例: 感染症、腫瘍、膠原病・血管炎、肉芽腫、アレルギー、組織壊死、血栓症・塞栓症、輸血反応など
原因の治療や、発熱物質を抑えることで熱を下げることができます
②Hyperthermia(高体温症) → 解熱剤が効きません
放熱能力を抑える環境要因(高温環境、乳児の過度の厚着)や身体的要因(内分泌疾患、薬剤)による
代謝亢進に伴う熱産生の増加、熱放熱の低下によって体温が上昇
体温調節中枢の設定値の変更はない
炎症ではなく、環境要因や全身の代謝が病的に上がること体温が上がる仕組みです
例: 熱中症、内分泌異常(甲状腺機能亢進症、副腎クリーゼ、褐色細胞腫など)、薬物作用・離脱、うつ など
強制的に冷やさない限り体温が下がりません。
診療の流れとしては、まずは経過から発熱の原因を類推します。
①急性(発症後数日以内)
原因としてウイルスや細菌などの感染症が多くみられます
感染症が重症化しやすい要素として
年齢 3か月未満の小児、超高齢者
免疫不全状態 ステロイド・免疫抑制剤、脾摘後、HIV感染
重度の基礎疾患 糖尿病、腎不全、肝硬変、COPD,悪性腫瘍
人工器官などの体内異物 人工弁、人工関節、人工血管など
があり、あてはまる場合は特に注意が必要です。
他に身体所見や血液検査から他の緊急対応が必要な病気も鑑別します
(肺塞栓・梗塞、心筋梗塞、腸管壊死、劇症肝炎、副腎クリーゼ、甲状腺疾患など)
②亜急性(週の単位)~慢性(月の単位で持続)
慢性感染症(肺結核などの抗酸菌症、真菌症など)
膠原病・血管炎
その他の非感染性炎症性疾患
内分泌異常
腫瘍
などを鑑別として検査を行い、原因を調べます
まとめ
発熱の原因は多岐にわたります。
①まずは頻度が高い感染症の除外(経過をみながら1週間程度で判断します)
②よくならない場合は、他の病気がないか調べる の流れが一般的となります
発熱の原因を調べる検査は
抗原・PCR検査、血液検査、喀痰検査、レントゲン検査、CT検査などがあります
参考文献
診療エッセンシャルズ新改訂第3版 第10章 日経BP